エアコンや冷蔵庫、電気自動車など、私たちの身の回りにある多くの機器に使われているインバーターモーター。知らず知らずのうちに、私たちはこの技術の恩恵を受けています。では、実際にインバーターモーターとは一体何なのか本記事では、インバーターモーターについて詳しく解説していきます。
3分でわかるインバーターモーターのお話
2025年12月22日
インバーターモーターとは?
インバーター(周波数変換装置)によって電源の周波数や電圧を制御するモーターのことです。
通常のモーターは商用電源(50Hzや60Hz)で一定の速度でしか回転できませんが、インバーターを使うことで モーターの回転速度やトルクを自在にコントロール できるようになります。
基本の仕組み
モーターの回転数やトルクをインバーター(周波数変換器)によって制御することで、効率的かつ柔軟な運転を可能にするものです。以下にその仕組みを解説します。
1.電源入力
商用電源(AC 100V/200Vなど)をインバーター※1に入力
2.整流(AC→DC)
インバーターが直流に変換(整流)→周波数を変換して交流に戻す(逆変換)※2
3.モーター駆動
生成された可変周波数の交流電流がモーターに供給され、回転数やトルクが制御された状態で運転されます。
つまり、周波数を上げれば早く、下げればゆっくり回る、という仕組みです。
※1:インバーターという交流電源(AC)を一度直流(DC)に変換し、再び交流に戻す装置です。これを利用して、交流の周波数や電圧を自由に調整できるため、モーターの回転数やトルクを制御できます。
※2:インバーター制御では、直流の電気をIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの部品で高速にオン・オフし、必要に応じた周波数と電圧の交流に変換しています。
普通のモーターとインバーターモータの違い
二つの違いを図解で見てみましょう
▼普通のモーター(商用周波数駆動)
【商用電源 50Hz/60Hz】 → 【モーター】
↓
回転数 = 固定 (例: 1500rpm)
・電源周波数が固定なので、回転数は一定
・速度調整するには機械的なギアやダンパーが必要
・余分な電力消費が多い
▼インバーターモーター
【商用電源】 → 【インバーターで変換 (周波数・電圧可変)】 → 【モーター】
↓
回転数 = 自由に制御可能
・周波数を変えることで 回転数を自在に制御
・必要な分だけ運転するので 省エネ
・ソフトスタート/ストップで 負荷や騒音を軽減
・精密な制御ができ、産業機械やEVにも使われる
項目 | 普通のモーター | インバーターモーター |
回転数 | 一定(50Hz/60Hz依存) | 可変(広範囲で制御可能) |
速度調整 | 不可(ギア等が必要) | 簡単に制御可能 |
消費電力 | 多め(常に全力運転) | 省エネ(必要分だけ供給) |
インバーターモーターの主な用途
1.産業機械
・工作機械(CNC旋盤、フライス盤など):
回転数を精密に制御
・搬送装置/コンベア:
速度を可変にして効率的な搬送
2.空調・家電
・エアコン/冷蔵庫:
消費電力を抑えながら効率的に運転
・洗濯機:
脱水や洗濯時にモーターの回転数を柔軟に制御
3. 自動車
・電気自動車(EV)/ハイブリッド車(HV):
高効率で駆動を制御
・電動パワーステアリングやポンプ:
精密なトルク制御
4.インフラ・エネルギー
・ポンプ・送風機:
必要な風量・流量に応じてモーター回転数を制御
・再生可能エネルギー設備:
風力発電や太陽光発電システム内の制御
5.エレベーター・エスカレーター
・加減速を滑らかにし、省エネかつ乗り心地を改善
インバーターモーターは「速度やトルクを柔軟に変えられる」特性を活かして、省エネ・高効率・静音化・快適性が求められる分野で活躍しています。
