DAQシステムは、現実の物理現象をコンピュータで扱えるデータに変換する仕組みで、計測や試験の場面でよく使われています。
センサーなどから信号を取り込み、コンピュータに渡すことで、測定や分析をスムーズに行えるのが特長です。
これにより、より正確な測定や効率的なデータ管理が可能となり、研究から開発、現場での試験まで幅広く活用されています。
本記事では、このDAQについて、さらに詳しく解説していきます。
3分でわかるDAQのお話
2025年09月18日


DAQ(データ収集)システムとは
DAQ(Data Acquisition)システムは、物理現象を測定し、そのデータをデジタル形式で記録・解析する一連の仕組みです。
別名「データ収集システム」とも呼ばれ、センサーや測定機器から出力されるアナログ信号やデジタル信号をコンピュータに取り込み、分析することができます。
これにより、電圧、温度、圧力、音など、さまざまな物理量を正確に測定することが可能です
DAQシステムの構成

①検出
センサで物理量を検出する。
例:温度、圧力、電圧、ひずみ、光、振動など
②信号調整
信号を整える(増幅・フィルタなど)
・微弱な信号はアンプで増幅
・ノイズ除去のためのフィルタ回路などもここで利用
③変換
アナログ信号→デジタル信号へ変換
・A.D変換(ADC)でパソコンが扱える形式にする
④収集
PCやマイコンに取り込み・記録
・収集ソフト(例:LabVIEWなど)で、リアルタイム表示や保存処理
・CSV保存やグラフ表示などもこの段階
DAQの目的
目的 | 内容 |
測定・モニタリング | 温度、電圧、振動、圧力などをリアルタイムに測定し、状態を監視 |
データの記録・蓄積 | 現象を時系列で記録して、後から分析・比較・再現可能にする |
異常検出・トラブル予防 | しきい値を超えたら警報、停止など。予防保守や品質管理に活用 |
解析・評価 | 製品・装置・実験結果などの性能評価や挙動解析に使用 |
自動化・制御 | 測定値に応じてシステムをフィードバック制御する(例:試験機、自動試験ライン) |
広がり続けるDAQの活用領域

研究開発
新技術や製品を開発する際のデータ収集に利用されます。

工業計測
製造ラインの監視や品質管理に役立ちます。

環境モニタリング
環境データの収集・分析に用いられます。

医療機器
患者の生体データを収集し、解析するために使用されます。

教育・実習用途
大学や高専の実験室で、電気・物理・機械・生体工学などの実習用に使用されます。

通信・電子機器の評価
通信機器、半導体デバイスの特性評価や電磁ノイズ、信号品質、応答速度の計測に用いられます。
代表的なDAQ製品
主に2種類のDAQが存在します。
スタンドアロン型 DAQ(自立型) | PC接続型 DAQ |
特徴:PCがなくても単体で計測・記録ができるタイプ。
例:ポータブルデータロガー。SDカードや内蔵メモリにデータ保存が可能です。
代表製品: ・テクトロニクス&フルーク ケースレー 6.5桁デジタル・マルチメータ ・A&D デジタル温湿度 SDデーターロガー ・グラフテック GL260 データロガー ・NI CompactDAQ シャーシ ・Keysight DAQ973A USB/LAN データ収集システム | 特徴:PCとUSB、Ethernet、PCIeなどで接続して使うタイプ。
例:USB DAQモジュールやPCIeボード。
代表製品: ・NI mioDAQ ・NI USBマルチファンクションI/Oデバイス ・NI マルチファンクションI/Oボード ・コンテック USB2.0 マルチファンクションDAQユニット ・Keysight 多機能モジュール DAQM907A |