【特集】直流安定化電源の選定ポイント!(菊水電子工業)

直流安定化電源を選定するときのポイント

試験実行内容の確認 選定ポイント
被試験物の動作に必要な電圧と電流を検討して決定する 定格電圧と定格電流の確認
被試験物に与える電圧の変化時間を管理したい 出力電圧の立上り時間、立下り時間の確認
被試験物はリップルノイズにより影響を受けるか否か リップルノイズの確認
被試験物に流れる電流の変化時間が速い 過渡応答特性の確認
電源装置をバッテリの代わりに使う 内部抵抗可変機能の有無を確認
被試験物がバッテリである ブリーダー回路(放電回路)オフ機能の有無を確認
遠隔操作(外部電圧、パソコン)による測定が必要 外部コントロール機能を確認

単一レンジ電源とワイドレンジ電源

単一レンジ電源

出力範囲が定格電圧または定格電流で制限されるタイプ。
一般的な実験用可変型直流電源のほとんどがこのタイプになります。当社の代表的な製品としては、PMX-Aシリーズ、PAN-A/Eシリーズ、PAT-Tシリーズなどです。定格電圧・定格電流で出力範囲(レンジ)が方形に固定されているため単一レンジ電源と呼んでいます。なお、このタイプの電源では、電圧・電流それぞれを定格最大値の状態で連続出力させることができます。

ワイドレンジ電源

出力範囲が設定電圧と定格電力、または設定電流と定格電力で制限されるタイプ。
電力型電源ともいわれ、当社の製品としては、PWR-01シリーズ、PWXシリーズが該当します。上限が定格電圧または定格電流で制限されるという点では、単一レンジ電源と同じですがワイドレンジ電源は、同容量の単一レンジ電源と比較すると電圧・電流出力範囲が広く(=ワイド)なっています。なお、ワイドレンジ電源では、定格電力を越えない範囲での最大電圧または最大電流において連続出力させることができます。

出力モードはあくまで定電圧または定電流。定電力動作(電力を一定にして電圧が下がれば電流が増える、またはその逆という動作)はできません。ワイドレンジ=組合わせ範囲が、単一レンジよりも広くなっているということです。
これを単一レンジ電源で置き換えようとすると、複数台の電源(例:40V/27A定格、20V/54A定格、10V/105A定格・・・)を用いるか、1台とするなら40V/120A定格(4,800W!)の製品が必要になります。ちなみにワイドレンジ電源において、同定格(電圧電流)の単一レンジとの電力比を拡張比といいます。PWR1201Lの場合は、3倍比となります。

回路方式の特長

スイッチング方式とシリーズドロッパ方式の特長を理解する!

項目 スイッチング方式 ドロッパ方式
安定度
出力品位(低ノイズ・低リップル)
過渡応答(負荷変化への追従性能)
外形寸法 ×(大きい)
質量 ×(重い)
電力変換効率(省エネ性能) 〇(70~90%) ×(50%程度)

KIKUSUIからのアドバイス

単一レンジ電源かワイドレンジ電源か?(選定の目安)

1. まずは単一レンジの中から

必要な定格を持つモデルをご検討するのがオススメ。同容量であれば、単一レンジのほうが一般的には廉価になります。(バイポーラ電源のPBZシリーズは例外)しかし、負荷に対して選んだモデルの電源容量が過大かと思われる場合は(負荷容量に対して電源容量が数倍)ワイドレンジにした方が適切かもしれません。

2. ワイドレンジ電源が有利になるケース

定常時は電流が少ないが、起動時に大きな電流が流れる誘導性負荷(モーターなど)の駆動や電力は小さいが、様々な定格(電圧・電流)の試験対象があり、大きな電源または複数の電源を置く場所がない(予算もない・・・)といった場合です。

3. ワイドレンジのデメリット

ワイドレンジは、レンジ幅を拡げたことのトレードオフとして同一容量の単一レンジと比べて設定分解能が荒く、また過渡応答(負荷変動の追従特性)についても遅くなります。この点についても、考慮をいただいく必要があります。

●キクスイの直流安定化電源ラインナップ

スイッチング方式 ドロッパ方式
単一レンジ電源 ワイドレンジ電源 単一レンジ電源
PAVシリーズ
PAGシリーズ
PAT-Tシリーズ
PHP-Tシリーズ
PWR-01シリーズ
PWXシリーズ
PMX-Aシリーズ
PMX-Multiシリーズ
PAN-A/Eシリーズ
PAD-LAシリーズ

●ワイドレンジ電源PWR-01シリーズ
(スイッチング方式)

●単一レンジ電源PMX-Aシリーズ
(ドロッパ方式)

単一レンジとワイドレンジは、いずれも一長一短があり、どちらかが一方的に優位にあるものではなく負荷・条件にあわせて、それぞれの特性を活かしたかたちでお選びいただくことが肝要です。

運営スタッフお薦めの製品

薄型ワイドレンジ可変スイッチング電源(PWXシリーズ)

高効率大容量スイッチング電源(PAT-Tシリーズ)

N対Mのネットワーク型遠隔制御・監視に対応する、新世代ラックマウント電源

PWXシリーズは、ラックマウント電源として最適化設計がなされたCVCC可変型スイッチング直流安定化電源です。デザインは実装効率を高めるため、19インチラック幅の薄型形状とし、内部冷却の吸排気も前後面のみとすることで、上下を密着した実装が可能となっています。さらに同シリーズは、システムアップに不可欠な通信インターフェース群、LAN、USB、RS-232Cを標準装備。

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サイズとコストパフォーマンス、 そして、省エネにも優れた大容量電源

PAT-Tシリーズは定電圧/定電流自動移行型スイッチング直流電源です。ソフトスイッチング方式の採用により、効率改善、ローノイズ化を図るとともに、高密度実装技術を駆使して大幅な小型軽量化を達成。このクラスでは異例の「力率改善回路」を搭載し、電源環境の改善(高調波電流抑制)とともに、配電設備の簡素・小型化、そして消費電力の低減といった「省エネルギー」にも大きく貢献します。

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コンパクト・マルチ出力直流電源(PMX-Multiシリーズ)

コンパクト直流安定化電源(PMX-Aシリーズ)

2、3、4出力の全3モデル。研究開発や生産ラインでの使用に最適。

各出力がアイソレーションされている小型の多出力直流電源です。PMX32-3DUは2ch、PMX32-3TRは3ch、PMX32-2QUは4chを同時に出力し、各チャンネルを同時に可変(トラッキング)することができます。

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定番の実験・試験用電源にネットワーク機能を標準装備

PMX-Aシリーズは、小型、高性能な定電圧(CV)/定電流(CC)直流電源です。システムアップに不可欠な通信インターフェース群、LAN、USB、RS232Cを標準装備。LAN 通信ではパソコン、スマートフォン、タブレット等のWEB ブラウザからの制御・監視が可能です。

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高信頼性直流電源(PAN-Eシリーズ)

高性能・高信頼性+デジタルインターフェース「デジパン」、誕生。

PAN-Aシリーズ相当の能力をパソコンで制御CPUと高分解能DA・ADコンバータを採用することで、微細な出力値の読取り/出力設定をマニュアル操作はもちろん、LAN/USB/RS232Cいずれかのケーブルが1本あれば、パソコンでの制御が簡単におこなうことができます。

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information

マンガでわかる直流安定化電源もあるよ!

「俺の後輩が可愛いのはたぶん何かの間違いだ」
(マンガでわかる直流安定化電源 入門編)
https://www.kikusui.co.jp/comic/

●単行本のご紹介


※このページの記載内容は2020年5月現在のものです。

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