実際のEMC環境を再現、国産初リバブレーションチャンバー
リバブレーションチャンバーは、シールドルームの共振とスターラーによる電波の撹拌を利用して、供試体に対して多方向から到来する電波、実際のEMCを模擬した環境を作り出すことができます。・チャンバー、スターラー、ソフトウェア共に国産のため、メンテナンスやトラブル発生時の対応が容易
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リバブレーションチャンバーは、シールドルームの共振とスターラーによる電波の撹拌を利用して、供試体に対して多方向から到来する電波、実際のEMCを模擬した環境を作り出すことができます。・チャンバー、スターラー、ソフトウェア共に国産のため、メンテナンスやトラブル発生時の対応が容易
現在、世の中では、我々が住む環境は、様々な無線機器が使用されており、色々な電波が飛び交っています。リバブレーションチャンバーは、シールドルームの共振とスターラーによる電波の撹拌を利用して、供試体に対して多方向から到来する電波、実際のEMCを模擬した環境を作り出すことができます。このような特徴から、近年、自動運転などの分野で注目されている測定法となります。
リバブレーションチャンバーは前述の通り、様々な方向から供試体に電波を照射する試験となります。一方で、電波暗室法では、アンテナから直接電波を供試体に照射する試験であり、1方向1角度の条件で、アンテナからの距離により減衰が生じる試験となります。このため、車両等供試体に全体的に電波を照射できるリバブレーションチャンバー法の方がより現実に即した試験だと考えられます。
リバブレーションチャンバーの構成ですが、シールドルームと撹拌機(スターラー)、電磁波を照射するための送信アンテナ・パワーアンプ・発信器、受信用の電界プローブ等のハードウェア、ならびに、全体を制御するためのソフトウェアから構成されます。供試体の誤動作を自動検知する画像判定システムとの連動も可能であり、効率的なイミュニティ試験を行うことができます。
図1:リバブレーションチャンバーの構成
TDK/JSE製リバブレーションチャンバーでは、適用周波数に応じて、2タイプの標準ラインナップ(80MHzタイプ、200MHzタイプ)があり、各種規格に適合しております。チャンバー、スターラー、ソフトウェア共に国産のため、メンテナンスやトラブル発生時に迅速に対応が可能となっております。なお、独自のスターラー構造を採用することにより、電界が均一となる領域であるワーキングボリュームを広く確保しております。試験時に誤動作を自動検知できる画像判定システムも搭載されており、誤動作が起きた場合は自動録画されますので、人が監視しなくても試験ができるため、試験の効率化を図ることができます。
項目 | 80MHzタイプ | 200MHzタイプ |
下限周波数 | 80MHz | 200MHz |
チャンバー内寸(m) | 10.1 x 6.4 x 4 | 4.8 x 3.6 x 3.1 |
Working volume(m) | 4.8 x 3.5 x 3.1 | 2.6 x 2.0 x 2.1 |
対象規格 | ISO11452-11、IEC61000-4-21、RTCA DO-160G | |
スターラー | フラクタル構造(連続回転、ステップ回転) |
ワーキングボリューム内のスターラー回転毎に加算平均して電界分布を求めた結果の一例を示します。スターラー回転前の初期状態では、強弱が明確な電界分布を示しますが、スターラーの回転により得られる加算平均電界は均一となっていくことが分かります。このことは、イミュニティ試験において非常に有用であることは明らかです。リバブレーションチャンバー内の位置や向きに関係なく統計的に均一な電界を供試体に照射できるためです。
設計:TDK株式会社
製造・施工:日本シールドエンクロージャー株式会社
JQA 安全電磁センターに設置されているリバブレーションチャンバーをご紹介します。