より大きい容量、より短い充電時間、より長い寿命。 電池の高性能化に伴い、電池測定への技術要求も高まっています。ソーラトロン アナリティカルは、市場ニーズと顧客のワークフローを捉え、高出力電池セルや電池モジュール向けの電池測定・解析ツールを開発しました。

SI-9300Rの各モジュールは、5つの独立した3kW出力のアナライザチャネルを備え、42Uラックに最大8モジュール(最大40チャネル)、24Uラックに最大4モジュール(最大20チャネル)を搭載することができます。

特徴

• エネルギー回生により消費電力を削減し、多チャンネル化を実現
• フラックスゲートセンサにより、電流測定の高精度化と熱安定性を両立
• 電流確度0.03%(フルスケール)を300A、20A、2Aの各電流レンジで実現
• 全てのアナライザチャンネルにインピーダンス測定機能を標準搭載、リアルタイムに等価回路フィッティングを実行
• 電池セル・小型EV用電池モジュールに最適化された10V電圧範囲
• 各アナライザチャンネルに2つの補助電圧測定チャンネルを搭載
• Direct to Disk テクノロジ(特許出願中)により、多チャンネル測定時でもパソコンへの処理負荷を低減し、優れたシステムの信頼性を確保
• 各チャンネルを並列接続することで電流範囲の拡張が可能
• EISによるSoH推定アルゴリズム(特許出願中)により日産リーフなどのパウチ型セルの電池モジュールの高速グレーディングが可能

回生エネルギー

SI-9300Rは、エネルギー効率の高い電力回生技術を搭載し、電池セルから放電された余剰電力を電力グリッドに戻すか、システム内でリサイクルすることで、非回生型システムに比べて最大90％の運用コストを削減します。また、電力回生技術は装置の冷却要件を緩和するため、SI-9300Rは非回生型システムに比べて容積4分の1のとなる小型化を実現しまし、設置スペースを節約します。

マルチ電流レンジ

電流レンジが1つだけの充放電装置では小さい電流の測定時には分解能が不足しますが、SI-9300Rは新しいマルチレンジ電流センサーを利用し、高Cレートでも低Cレートでも優れた電流分解能と精度を実現しました。パウチ型セルや角型セルの特性評価や、18650や21700などの円筒型セルのサイクル試験に適しており、量産での最終検査やドライブサイクル試験、HPPC (Hybrid Pulse Power Characterization)試験に使用可能です。また、1台で複数の電流レンジをカバーできるため、複数台の単一電流レンジの充放電装置する必要はありません。省スペース化を実現するだけでなく、試験条件や試験計画の柔軟性を高めることができます。

インピーダンス測定を標準搭載

SI-9300Rには、全てのチャネルに専用のソーラトロンのFRA技術を搭載し、各チャンネルで独立に電池セルのインピーダンス測定が可能となりました。さらに、補助電圧測定チャネルにより、アノード/カソード電力の同時インピーダンス測定にも対応します

ソーラトロン アナリティカルが、世界中で使い続けられる理由の一つは、優れたインピーダンス測定確
度です。 1mΩのインピーダンスに対して、0.1%、0.1°の確度を実現しました。

リアルタイムデータ解析

SI-9300Rでは充放電試験の実行中でもリアルタイムに等価回路フィッティングを実施することができるため、電池セルの特性の変化を継続的に観察することができます。当機能と独自アルゴリズムを活用することで、電池セルのグレーディングや、迅速なSoC/SoHの解析に拡張することも可能となります。

事例：日産リーフ SoH 推定アルゴリズム

スペック